LOGIN俺は屋敷に戻っていた。
今もまだ上機嫌な父上に対して、俺は浮かない表情のままだ。何しろ、俺は弟アルクの運命を奪ってしまった。現状がどうなっているのかも分からず、少しも頭が回らない。
「ガハハ! ルカはきっと素晴らしいジョブを授かると思っていた! まさか悲運の女神シエラ様から勇者を授かるとか司教も驚いておったな!」
夕食の席でも父上は浮かれたままである。本来ならアルクが授かるジョブだとは知らずに暢気なものだ。
「兄様は凄いです! やはり一般ジョブとは異なりましたね!」
アルクもまた脳天気だとしか言えん。自身のジョブを兄に奪われたというのに、さも俺が初めから勇者であったかのように喜んでいる。
「ルカ、ママも嬉しいわ。でも、勇者なのだから使命があることかと思います。成人したとはいえ、悲しく感じますね」
いやいや、既に旅に出る前提みたいだけど、俺は何も聞いちゃいないっての。
てか、シエラは俺に何を求めてんだ? せめて勇者の目的くらい教えてくれたら良いってのに。「魔国との大戦……?」
俺はふとゲームの知識を思い出していた。
勇者に目的があるとすれば、それしかない。主人公アルクは騎士学校へと入り、強者の友好度を上げた。彼らを味方につけ、魔国と戦うのだ。
「おお、ルカよ! そのような未来を告げられたのか!? やはり勇者は世界を救うのだな?」
「ああいや、そういった未来もあるのかなと……」
やべぇな。俺は可愛い彼女とイチャつきたいだけなのに。
仲間を集めて世界を救うとか、大仰な運命を背負うことになるなんて。「幸いにも我が家には跡継ぎとなるアルクがいる。ルカ、存分に戦え。お前はその功績により子爵よりも、ずっと上の地位を得られることだろう。儂はそれを楽しみにしている」
あっ、これは駄目なやつだ。
既に俺の退路はなくなったらしい。勇者認定によって、アルクがアルフィス子爵を継ぐというのなら、俺はただのルカでしかない。ジョブが勇者であるのだから、父上は自分の力で未来を切り開けというつもりか。
「いや、勇者だからといって子爵家では騎士学校に入れませんし……」
ゲームにおいてリィナと出会ったアルクは騎士学校へと入る。リィナが持参した推薦状のおかげで。
双国立騎士学校は同盟国であるイステリア皇国との共同出資で設立されている。そこは魔族との戦争に際して士官を養成する学校だった。
士官とは各部隊のトップであり、兵たちに指示を出す側だ。従って基本的に下位貴族の入学は認められていない。なぜなら下位貴族が上位貴族に命令するという事態が起こり得るからだ。
「うちはどこの寄子でもないし、騎士学校の推薦状などもらえるはずがない。しかし、ルカは強力な戦闘ジョブ勇者を手に入れたのだ。ルカであれば雑兵からでも成り上がれるだろう。とにかく、めでたい! 今夜は宴会だ!」
やっぱ駄目だな、これ……。
もう父上は俺が勝手に成り上がるものと考えているみたいだ。 こうなってくると考えるしかない。これから先、俺がどう動いていくべきなのかを。「勇者は仲間を集めなきゃいけないってのに」
勇者になった俺は聖女リィナと出会えない。彼女と会って心を奪われでもすれば、俺はディヴィニタス・アルマを使ってしまうだろう。そうなると勇者が病で死ぬことになり、エクシリア世界は魔族によって統治されることになる。
「美の女神の使徒フィオナを優先するしかないか……」
フィオナは同盟国であるイステリア皇国の皇女殿下。ゲーム内ヒロインの一人だ。
「シエラの話だとゲーム内のイメージは皆無だけど」
簡単にヤれるというのが、シエラのフィオナ評だ。
俺的には清純なお姫様にしか思えないけれど、この世界は過度に変動している。性格まで同じだと考えない方がいいのかもしれない。「やっぱイステリア皇国に行くべきだな」
リィナと会ってゲームオーバーになるのならば、目指すべきは美の女神の使徒フィオナに違いない。王国内で戦うことはリィナと出会う可能性を高めてしまうし。
「ルカよ、イステリア皇国には歴史的にもイリア様の使徒が多く現れたらしい。王都クリステラから中央街道をずっと東に進んだ地のことだ」
俺の呟きに返答があった。
どうやら父上は美の女神イリアの使徒について覚えがあるようだ。「知っているのですか?」
「イステリア皇国は美男美女揃いで有名なのだ。古代から美の女神の加護があると言われている。固有ジョブである精霊術士の記述も多く残っているし、精霊を手懐けるほどの魅力を持っているらしい。精霊の力を借りたスキルは大地を裂き、大海を割るほどと聞く」
概ね俺が知っている話と同じだった。
フィオナのジョブは精霊術士だ。精霊をも魅了するという話は間違いではないだろう。「父上、俺は女神シエラの要請に従い、隣国イステリアへと向かいます」
俺はリィナと会えないのだから、騎士学校に入れない。
だったら、フィオナが騎士学校へと入るよりも前に彼女と会っておこう。そして言葉では表現できない甘美な時間を過ごすのだ。「お前が使っていた装備は持っていけ。路銀は銀貨で金貨一枚分しか用意できんが、勇者であれば冒険者なり、傭兵なりをして稼いでいけるだろう。あと出国するのだから、一応は王様に謁見しておきなさい。勇者は非常に稀有なジョブ。ひょっとしたら支援してくれるかもしれない。有能な兵を繋ぎ止めておくために」
金貨一枚は銀貨百枚分。しけた金額で世界が救えるはずもないが、片田舎の子爵領には急な出費に対する備えがないから仕方ないよな。
「承知しました」
王様に会うのは気が重いけれど、支援してもらえる可能性があるならば会っておくべきだ。雑兵とはいえ、俺は世界に一人しかいない勇者というジョブなのだから。
「早々に出発いたします。十五年間、ありがとうございました」
とんだ成人の初日を迎えてしまった。
一応は代行者というジョブを避けられたけれど、悩みがないわけではない。
俺が好きだったリィナ。彼女は今、何をしているのだろうかと。「あと三年で人類が滅ぶくらいですかね?」 メル教官は固まっている。 あと三年で王国が滅ぶならまだしも、俺は人類と言ったのだ。 大陸の南側にはまだ国が乱立していたというのに、その全てがたった三年で消え失せるという未来。流石に信じられなかったことだろう。「君は本気でそう思っているのか?」「いや、女神様に聞いたのです。あと三年で人類は滅ぶと……」 俺が使徒なのは皆が知っていること。加えて原初の三女神全員が俺の主神であることも。「やはりそうか。軍は此度の帝都陥落を重く受け止めている。ひょっとして我々は魔国の進軍を止められないのではないかと……」 どうやら双国軍にも思慮深い人間がいるようだ。 とりま、それは朗報だな。他国の侵攻を自国と置き換えて考えられるなんて。「だったら上層部に掛け合うべきです。使える者を使う。ただそれだけのことで戦況を覆すことが可能です」 一端の教官には荷が重い話だろう。 基本的に教官連中は下位貴族が中心。上位貴族の面々は肩書きだけを得て、戦場とは無関係な場所にいるのだから。「私が上申したところで変わらないかもしれない。けれど、必ず報告書を上げよう。類い希な力を持つ戦闘員をいち早く現場に配置するように」「そうしてください。俺はいつでも最前線に張り付きます。ただし、条件がある。俺は全権を与えられたい。軍を動かす力が欲しいのであって、使われる立場を望んでいません」 せっかく戦場へ辿り着いたとしても、無謀な作戦に使われたのでは堪ったものじゃない。だからこそ、俺が戦場へ赴くときには全権を与えてもらう。「君の言い分は理解する。マシな上官さえいたのなら、バリウス帝国も首都陥落という状況は避けられたのかもしれない。期待せずに待っていてくれ」 ここで俺は解放された。 メル教官にはまだ話があっただろうけれど、意図せず受け取った宿題が処理能力を超えていたのだろう。更なる難題を与えられる前に解放しようとしたはずだ。 俺としては言いたいことを伝えられた。 世界を救うこと。必要最低限を口にできたと思っている。 ◇ ◇ ◇ メル教官と話をしていた俺は能力値測定の部屋へと急いでいた。「ゲームのまんまだよな?」 序盤は無理をして失敗することが多々あるので、初日のイベントについては良く覚えている。確か能力値の測定は通路を左に曲
昼食時はゲームにおける英雄四人で集まっていた。 女神の加護を持つ俺たちは別格であり、少しばかり浮いている。食堂には百人くらいいたというのに、俺たちの周囲だけ誰も近寄ってこなかったんだ。「ルカ殿下、わたくしは前線に赴くべきでしょうか?」 食事を始めるでもなく、フィオナが聞いた。 それは先ほどの話。気になってしまったのなら申し訳ない。けれど、そう遠くない未来の話であり、ミリアを除いた三人は前線に配備されるだろう。「安心してくれ。一人ではないから。俺も同行するつもりだ」「そうでしたか……。ルカ殿下がおられるのなら、わたくしは戦えます」 ありがたい話だな。 フィオナが芯の強い女性であったことには感謝しかない。「ルカ様、やはり魔国は侵攻を続けますか?」 ここでリィナが口を挟む。いきなりの帝都陥落は少なからず動揺を与えたことだろう。「当然そうなる。だからこそ、七柱女神の全員が使徒を選んでいるんだ。近い内にバリウス帝国は完全制圧され、いずれ魔国による進軍は王国内にも及ぶだろう」 俺たちの使命は魔族の手から大地を守ることだ。 シエラ曰く、陰に光が呑み込まれるなどあってはならないらしい。またそれは使徒である俺たちが阻止すべき問題に他ならない。「ルカ様、私は必要ないのでしょうか?」 リィナは不服なのか、少しばかり頬を膨らませている。 彼女もまたクラス分け試験において圧倒した一人なのだ。やはり一緒に戦いたいのだろう。「できるだけリィナの魔法は温存したい。俺は自分自身を強化するバフを持っているし、リィナの力を必要とする場面じゃない」「いやでも、魔将軍ですよ!?」「ただの水魔だ。フィオナと俺だけで充分戦える」 リィナは戦うほどに身体を病む。 序盤の魔将軍相手にリィナの魔力を使っているようでは駄目なんだ。肝心なとき、彼女は何もできなくなってしまうのだから。「だけど……」「リィナは魔王との戦いに必須。聖女のデバフがなければ魔王には決して届
「全軍司令官が希望です」 俺の返答には候補生たちだけでなく、レブナント教官まで黙り込んでしまう。 それもそのはず、現状の司令部は東部と西部で分けられている。 騎士学校を卒業したアークライトが西部司令官であり、イステリア皇国内の前線基地に東部司令官がいた。つまるところ、全軍を指揮する司令官など存在しないのだ。「貴様はそれが何を意味するのか知っているのか?」「冗談で口にしませんよ。俺は魔国を壊滅に追い込む。しかし、その達成には立場が必須。局地的な指示だけで終わりでは無理なんです。それは最終的な目標であり、一刻も早く達成したい目標でもあります」 西部司令官であるアークライトが配備されたのはサンクティア侯爵領スノール前線基地だ。 スノール前線基地は北に拡がるバリウス帝国が滅びたのなら、真っ先に最前線となる場所であり、リィナの地元でもあった。「現状はアークライト殿下が指揮を執っておられる。当然、皇国にも司令官が存在するのだ。候補生がしゃしゃり出る隙はない」 俺の希望は一蹴されてしまう。けれど、俺は意志を示した。もし仮にアークライトが討ち死にしたのであれば、俺はそこへ割り込めると信じている。 なぜならゲームにおいてアルクは候補生でありながら、全軍司令官となったのだ。 学徒出陣のような状況に追い込まれたからこそであるが、並行世界にあった可能性に俺は期待している。「まあいい。貴様は後衛士官だ。魔法科に決定とする」 結局、俺は魔法科に編成された。 この辺りはゲームと同じだ。ヒロインの一人であるフィオナとペアを組む。基本的にフィオナとの関係が進んでいくストーリーなのだから。「ま、魔法に長けた人材は不足してるし……」 見込みのある者は魔法科が優先される。ゲーム云々を考えずとも、俺は後衛士官となるしかないようだ。 このあとも淡々とクラス分けが進んでいく。 やはりフィオナは俺と同じ魔法科であり、ミリアは支援科となった。フィンがいたならば彼も支援科だったはずが、今も行方知らずである。 もう直ぐ昼食とい
初めてのレベリングは俺とミリアを除いて上手くいったらしい。 結局のところ、ミリアは帰路もろくに経験値を得られず、レベルアップは僅かなものであった。 本日は授業の初日。レブナント教官が騎士候補生を集め、壇上で話をしている。「諸君、昨日はよく休めただろうか? 私が主に実技を担当するレブナントだ。始めに言っておくが、騎士学校では身分を加味しない。全員等しく扱うことになり、厳しい言葉も投げかけるだろう。耐えられないのであれば、さっさと国へ帰ることだな」 当然のこと俺も同様の扱いを受けることになる。これは教官が職務を全うするために必要な決まりごとだし、仕方のないことだ。「まずはクラスを決定しなければならない。剣技、魔法、支援の三つを計測し、適したクラスを選んでくれ。希望は聞くけれど、望み通りにならない場合もある。クラス分けは結果を加味して、教官が決定を下す」 適正はジョブに左右されることが多分にあるけれど、ジョブではなく計測数値から判断してくれるという。「まずはコーネル・バリウス! 剣技からだ」 どういう順番なのか分からないが、最初に名を呼ばれたのは皇国民でも王国民でもない。 コーネルは直ぐ北にあるバリウス帝国の皇子様だった。なぜ俺が彼を知っているのかというと、コーネルは俺のルームメイトだったからだ。「コーネルのやつ、初っ端とはついてないな……」 他国の皇子と聞いて我が侭な人間という予感を覚えていたのだが、そんな懸念は杞憂に終わっていた。 実際のコーネルはとても腰が低い。簡単に言うと、めちゃくちゃ良い奴なんだ。第三皇子という微妙な立ち位置も彼が控えめな要因だろうと思う。「始めます!」 剣技は魔道具に全力で打ち込むだけ。瞬時に威力を数値化して、適性を計ることができた。 ゲームでは少しも名前が出て来なかったコーネルなんだが、俺は心の中で密かに応援していた。彼が使える兵であるようにと。「でやあああっ!」 気合いを乗せたコーネルの一撃。ドスンと重たい音が鳴り、瞬時に数値が浮かび上がる。【169】 えっと、なんだ……? 凄いのかどうか分からん。 単なるダメージ量であるのなら、ゲームにおいてはかなりショボい。危険度七等級のゴブリンの体力が100程度なのだから。「うむ、なかなかの威力だ。魔法力の測定に行くか? それとも剣術科にするか?」
俺とミリアはフィオナよりも先に待ち合わせの地点へ到着していた。 ここまでミリアのレベルは5しか上がっていない。 俺が致命傷を与えているのだが、最後の一押しができず、先に魔物が息絶えてしまうからだ。「想像以上にキツいな……」 このままではレベル100で覚える最大級のスキルなんて何年かかるか分からない。リィナにはそのような時間がなかったというのに。 ちょうど二人きりだ。俺はミリアと腹を割って話をするべきかもしれない。「なぁ、ミリア……」「ななな、何でしょうか、殿下……」 ミリアの生い立ちは聞いた。 彼女は没落貴族であって、皇家の好意で後宮勤めを許されたらしい。本来なら騎士学校に入れるはずもなく、人知れず人生を全うしていたことだろう。「自分の運命を恨んでいるか?」「運命? それって、あたしの家のことでしょうか?」「ああいや、家だけじゃない。今まで生きてきた全てに関してだ」 俺はとんでもない要求を投げようとしている。 ぶっちゃけ彼女の人生は最悪を脱したところだし、これから先も上昇し続けていくことだろう。這い上がったばかりであって、そのような質問は愚問に違いない。「恨みとかないです。残念ながらお父様は借金を返済できずに、所領を失ってしまいましたが、あたしは今輝いていると思うのです。愚者の女神ルシアン様は適当に頑張れば良いと仰ってましたけれど、あたしはできるだけ足掻いてみたくなっています」 まあ、そうだろうな。 今は希望しか見えていないはずだ。侍女として騎士学校に入るには、普通ならば伯爵家以上が求められる最低ライン。没落貴族のミリアが選ばれるなんて、何度人生を繰り返そうがやってこない幸運なんだ。「今が楽しいか?」「どうして、そういうこと聞くのです? ひょっとして、あたしに恋しちゃったとか? いやでも、愛人ですよね? あたしは身分が備わっていませんし」 そうじゃないよ。俺が求めているものはそれじゃないんだ。 意図が伝わらないのなら、はっきりと言おう。俺が求める最低な要求について。「君の加護をくれないか?――」 俺はどこまで自分中心なんだろうな。 臆面もなく、人生を要求しているなんて。今を謳歌している若き女性に対して、輝かしい未来を奪おうとしている。 ポカンとした表情のミリア。流石に理解できなかったのかもしれない。彼女は
「単なる一目惚れですわ」 まあ、でしょうねぇ。 ルカ様は見た目と言動が一致しない人ですけど、一目見て恋に落ちる女性は多いかと思います。フィオナ殿下も例に漏れず、ルカ様を一目見て気に入られたみたい。「胸が高鳴りました。わたくしはようやくイリア様のご要望にお応えできると確信したのです。わたくしが愛に溺れる様を見ていただけると直感しました」「えっと、美の女神イリア様はそういったことをご所望なのですか?」「そうなのです。わたくしが殿方から寵愛を受ける様が見たいと常々仰っておられますの。結果的にまだ見せられておりませんけれど」 ひょっとすると私の幸運が勝っているからかもしれない。 彼女が婚約破棄に至った理由に私は関与している可能性がある。「そうでしたか……。申し訳ございません」「いえいえ、わたくしは現状を楽しんでおりますの。好きな殿方に振り向いてもらいたい。このような感情は初めてですし、とても新鮮に感じられておりますわ」 本当にできたお人ですね。 私であれば嫉妬で頭がおかしくなりそうなのに、フィオナ殿下は楽しんでおられると言います。授かった美貌からの余裕かもしれませんけれど、私には真似できそうもありません。「あの……、もしもルカ様が私の運命を背負ったとすれば、どう思われますか?」 何を聞いているのかな。 どうしてか私はずっと懐疑的に感じていた話を口走っています。「リィナ様、未来は誰にも分かりません。その未来については、わたくしもイリア様から伺っております。非常に危うい状態にあるのだと……」「知っておられましたか。ルカ様には前例があるそうです。ご存じでしたか?」 私の話には首を振られています。どうやら、セラ様に聞いた話をフィオナ殿下は知らされていないようです。「実はこの世界の現状はルカ様が作り出したそうです。彼は行き詰まった末に、世界の改変を選んだ。信じられないでしょうけど、ルカ様は元々子爵家のご長男であったと聞いています」「はい? ルカ殿下は第二王子様ですよね?」